ども!ソムリンの浦川です。世界中、そして日本で大人気のボジョレーヌーボーを説明するこのシリーズ。
世界中で11月の第3木曜日に発売され、イベントでお祭り騒ぎ!今年2019年の解禁日は11月21日。味わいはかなり期待できると速報記事でご紹介させていただきました。このビックウェーブに乗らない手はない!!

しかしですよ。ボジョレーヌーボーにも色々ありますね。ワインショップやスーパー、販売店の店頭にはたくさんのボジョレーが並びますが基本的にフランス語でよく分からない。
プリムール?ヴィラージュ?ヴィエイユ・ヴィーニュ?よくわかんない用語や言葉が溢れています。
このワインと切っては切れないこのめんどくさい用語。よく分からないままワインを飲んでも、ちょっと喉につっかえたような後味の悪さがあるんじゃないですか?いや!絶対にある!笑
ということで、今回は「ボジョレー・ヌーボーとはそもそもなんなのか?」と、ボジョレーヌーボーを楽しむための「いろんな用語」、そしてボジョレーヌーボの製法などの基礎知識を説明する、雑学中心で今回はお送りします。
「ボジョレー・ヌーボー」ってどういう意味?簡単にいうと、「ボジョレーっていう地域の新酒」です。

ワイン大国であるフランスに超有名銘醸産地であるブルゴーニュ地方というものがあります。そのブルゴーニュ地方の南部に位置するのが「Beaujolais(ボジョレー地区)」です。
そのボジョレー地区で作られた、新酒「Nouveau(ヌーボー)」を「ボジョレーヌーボー ( Beaujolais Nouveau )」と言います。
表記でボジョレーヌーヴォー、ボージョレ、ボジョレなど、フランス語を無理くり日本語に変換するので読み方は様々です。
ボジョレー・ヌーボーとして売られているものの中には「ボジョレー・ヴィラージュ・プリムール(Beaujolais Villages Primeur)」と書かれているものもあります。
「プリムール?ヌーボーじゃないのか?」と思われる方もいらっしゃるかと。プリムールも「新酒」とか「初物」って意味なので、ほぼ同じ意味です。生産者によって変わっちゃいます。
色々と覚えるのも大変なので「ボジョレー・ヌーボー」はフランスの片田舎であるボジョレーってとこの「地酒の初物」って覚えましょう。
「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー」と「ボジョレー・ヌーボー」の違いは?

発売されているボジョレー・ヌーボーの中には「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー」ってありますね。ボジョレー・ヌーボーの間にちょっとよく分からない「ヴィラージュ」とあります。横文字に直すとフランス語では「village」と書きます。英語の「village」と同じ意味合いでして「村」という意味。
「ボジョレー」というのワインは、96の村により生産されいます。その中でもこの「ヴィラージュ」を付けて生産できる地域は約半分の46の村に限られています。さらには「ヴィラージュ」と名前を付けるためには生産量などちょっと決まりが多い。
生産者もこの「ヴィラージュ」が付く、ワインは普通の「ボジョレー」よりも気合を入れて上質に造るので、値段にも顕著に差がてきます。しかしその分非常に美味しいワインになる傾向があります。
要は、“ヴィラージュ”って付いていると、普通のボジョレーよりも“高級品”と考えてもらえれば良いかと。
V.V.とは何でしょ?
これはボジョレーに限らず覚えておいた方が役に立ちます。「Vieilles Vignes」の略でして、「ヴィエイユ・ヴィーニュ」と読みます。古木で収穫ブドウで造られたワインについている表記で、一般的には樹齢が30~40年以上のものに付けられます。
なぜ古木で収穫されたワインだとわざわざ表記されているかというと、通常は古木の方が美味しいワインを醸造することができるからなのです。

ブドウの木にも人間と同じように成長期があると考えてください。樹齢が20年ほどまではブドウの木が元気に成長します。その間もワイン醸造のブドウは収穫できるのですが、ブドウの実に欲しい栄養分を木の成長に使用してしまいます。
またブドウの木は古木になるにつれ枝に実るブドウの房の数が少なり、実の取れる収穫量も少なくなっていきます。実る房が少なくなると、数少ない実に栄養分が凝縮された葡萄が収穫でき、濃厚で美味しいワインとなります。
用語なり、日付なり、なんである?

フランスなどヨーロッパ各国では食品などに関してかなり厳しい法律があります。ワインも例外でなく、かなり細かく決まりごとがあります。土地や地域によってワインの名前が決まっていたり、土地の名前のワインを出すなら使用するブドウの品種が決められていたり。
ワイン勉強する上でかなりややこしいところですので、「ワインには法律で色々と決まった事がたくさんあって面倒臭い」と思ってもらえればOKです。
ちなみにボジョレー・ヌーボーで法律で決まった項目といえば
・葡萄の品種はガメイ種
(※実はピノノワールも補助で使って良いらしいですが、ほとんどの醸造家が使いません)
・解禁日は11月の第三木曜日
他にも生産量などありますが、これだけ覚えれば大丈夫です。
付け加えると解禁日の法律はフランスの法律。つまり日本では適応されないので、フライング販売や解禁日の前に飲んでしまったとしても日本では罰せられることはありません。が、ルールは守った方がいいですねw
さらにもう1つ付け加えると、かつて解禁日は設定されていませんでした。しかし話題や流行に敏感なパリっ子の為に、生産者が出荷の早出し競争を行うようになってしまいました。悪徳業者やメーカーが現れワインの品質が守られない事態に・・・。これを重く見たフランス政府が解禁日を15日と設定し、それ以前での販売を禁止しました。

しかし15日が土日になってしまうと、運送業者が休んでしまいます。なので解禁日を曜日ベースで設定し、1985年から「11月の第三木曜日」と解禁日が設定されたのでした。
なんで早く飲めるの?それは製法が違うから!
赤ワインの場合、ブドウを最初に潰してしまいます。足でブドウを踏んでいるところを見たことないですか?個人的には美少女に踏んで欲しいところなのですが、現実は機械です。人の場合はおっさんだったり、老若男女いろんな人が踏んでいます。あまり考えないようにしましょう。
しかし一般的なボジョレー・ヌーボーの場合はブドウを潰しません。ぶどうの果汁を早くワインに変え、フルーティーなワインへと仕上げるために「マセラシオン・カルボニック製法」という醸造方法が採用されています。
マセラシオンとは「醸し」って意味で、カルボニックは炭酸ガス。日本の正式名は「炭酸ガス浸漬法」です。
ブドウを潰さず房ごとタンクの中に入れていきます。タンクの中にブドウをどんどん入れていくと、自重でブドウが潰れ果汁が出てきます。この潰れ出た果汁の糖分に酵母が作用することで発酵状態となり、アルコールと炭酸ガスが発生します。
通常、発生した炭酸ガスは外に逃げるのですが、このマセラシオン・カルボニックではガスを逃がさないように密閉します。これにより炭酸ガスがブドウの果皮に作用し、鮮やかな色調をワインに与えます。その結果、短期間で香りはフルーティーで華やかでタンニン(渋み)を抑えた軽やかな口当たりが特徴のワインが仕上がります。

え?難しい?・・・。じゃあ、「ボジョレーヌーボーは早く飲むために普通のワインと造り方が違う」これだけ覚えましょう!
ちなみに賞味期限についても質問を受けます。ボジョレーヌーボーもアルコールを含んだお酒なので、きちんとした保存方法を守ったら腐るものではありません。しかし長期熟成するワインはそのための醸造方法があります。
中にはボジョレーヌーボーを長期熟成の醸造方法で造る変態さんもいらっしゃいますが、基本的にはすぐに飲んでしまった方が美味しいです!できれば年内かなと。
なぜボジョレーにヌーボーがある?
実は「ヌーボー」の種類には実は白ワインもあります。これはボジョレーではなく、ボジョレーの北の地域にある「マコン」というところで生産されています。

このようにフランス各地でヌーボーが認められている地域は他にもあり、ボジョレーだけが特別というわけではありません。
ではなぜボジョレーだけがこんなにヌーボーで有名なのか?それは「醸造家ジョルジュ・デュブッフ」の努力が実を結んだからなのです!!次回はボジョレーがなぜこんなに有名になったのかの理由を説明いたします。お楽しみに!!
ではまた!カンパ~い!