5月某日、ソムリン勝沼へ行く!
皆さん、こんにちは。ソムリンの浦川です!
春から夏へ季節が移る今日この頃、新緑も青々とし、汗ばむ陽気な中、ソムリンの2人は日本ワインの銘醸地である山梨県・勝沼へ行ってまいりました。
なぜ勝沼へ2人が行ったかというと、ワインを美味しくする為の『芽掻き』のお手伝いをする為です!
この時期のブドウの木は新しい枝がどんどん伸びていきます。その枝からはブドウの芽がいくつも出てくるのですが、芽がたくさん出過ぎてしまうと栄養素が分散されてしまい、ブドウの味が薄くなってしまいます。
ワインに使うブドウは糖度が高く、よく熟されている事が美味しいワインを造る上では大事になるので、芽が小さい時に余計なものはもいでしまいます。これが芽掻きです。
ブドウ栽培農家・矢野貴士さん

今回お世話になったのは、矢野貴士さんの畑です。矢野さんは熊本出身。もともとホテルでサービスを担当されていたそうですが、ブドウ栽培を行いたいという想いから勝沼へ移住。現在、いくつもの畑の面倒を見ながら、様々なワイナリーへブドウを卸していらっしゃいます。
そんな矢野さんの畑で、ソムリンの2人は芽掻きを体験してきました。いくつか畑を廻らせてもらい、どんな畑なのかの解説を聞き、黙々と芽掻き!

芽かきに参加したメンバーは、私たちの他にも複数人いたので、作業は午前中で終わりましたが、1人でやるとしたら1日以上の作業。かなり大変です。
「良いワインを造るには、まずは良いブドウから!良いブドウを作るには、手間暇をかけた畑作業から!」良い勉強をさせていただきました。
さて、ここからが本題です。
芽掻きをしたら出てくるもの。それは「ブドウの芽」です。

芽掻きをしてたらべらぼうに出てきます。そりゃもう捨てる程にw
勝沼ではこの時期の味覚として、山菜みたいにこれを天ぷらにして食べるそうです。それを聞いたら、ソムリンがやらない訳には行けません!
という事で今回は、芽掻きでいただいた甲州ブドウの芽を天ぷらにして、またそれに合うワインも用意して、マリアージュを楽しみたいと思います!
まずは先に、合わせるワインの紹介です!
本日のワイン
シャトー ジュン 甲州 2015 矢野貴士バージョン

生産地:山梨県・勝沼
今回は、シャトージュンさんのワインを用意しました!
このワイナリーをご存じない方も多いかもしれませんが、実はあのアパレルメーカー『JUNグループ』が造っているんです!「ROPÉ PICNIC」とか「ViS」とか言えば、皆さん分かりますかね?
なぜこのワインを用意したかなのですが、なんと!今回、伺った「矢野さんの甲州(ブドウの品種)」を使用しています!
つまり、「同じ畑で育ったブドウの芽と、ブドウの実からできたワインをマリアージュ」させるんです!同じ畑で採れた物は絶対にマリアージュする!はず・・・。
と言うことで、まずはワインのテイスティングから!
テイスティングタイム

色合いは日本酒のように透明です。日本酒よりはちょっと黄色味がかっている。
香りには柑橘やハーブのような香りを感じます。一番特徴的なのは甲州独特の吟醸香でしょうか。メロンのようなフルーティーな印象を受けます。

口当たりはシャープなキレを感じます。さすが甲州の酸です。その酸を口で感じていると膨らんでくるこのコク。2,000円程度でここまで表現してくるワインは国内でも少ないでしょう!美味しいですね~。
ちなみに、この2015年ビンテージを最後に矢野さんバージョンの甲州は市場に出回らなくなるそうです。
でもワイナリーでは限定的に販売するそうなので、もし矢野さんの甲州が飲みたいという方がいれば、シャトージュンさんまで是非伺ってみてください。
さて、ではでは。天ぷらを作っていきましょう!
「ブドウの芽天ぷら」の作り方
<材料>
- 卵 1個
- 水 200cc
- 小麦粉 卵水と見た目で同量程度
- ブドウの芽 適量
<作り方>
1、ブドウの芽の下準備!
ブドウの芽をピンとさせる為に、50℃程度のお湯に数分浸し、最後に氷水に浸して〆てください。
そうすることで、天ぷらにした時の食感が良くなります!
2、天ぷらの準備!まず、卵を溶いて水を混ぜます
卵はよく溶きましょう!
3、小麦粉を混ぜます。
混ぜた卵水の中に小麦粉を入れるのですが、全てではなく少し残すようにします。
ちなみに、あまり混ぜすぎるとグルテンが固まり天ぷらがベタつくので、程よく混ぜてください。
4、氷を入れて、最後に残りの小麦粉を入れましょう。
氷を入れると、サックリあがるそうです。(理由は不明w)
5、衣をつけて油で揚げます。
家庭の場合は、油の温度を気持ち高めに設定します。
時間は1分くらいです。揚げすぎないように気をつけましょう。鮮やかな緑色が茶色くなってしまいますので。

6、揚げ終わったら毎回きちんと天かすを取りましょう。
残っていた天かすが衣に付着すると、色合いがキレイになりません。
以上!
天ぷらが揚がりました!では、実食に入ります!
実食
見た目からもサクサク感が伝わってきます。

ちょっと塩を付けて食べてみます。
まずは、先端がブドウの実になる柔らかそうな芽から。
うまい!芽掻きの撮影中、生で食べた芽よりも数段美味。
山菜にはないほのかな酸味も感じます。こんな食材があったとは。ブドウ産地の方しか食べられない本当のご当地グルメ、ここに見つけたりですな。
では次に茎の部分を食します。見た目からしてちょっと固そうだが…。
一口食べてびっくり!す、酸っぱいだと!
まるで青く熟していないフルーツを口にしたような感じ。食感も非常に柔らかく、天ぷらに御誂え向きな茎だ!!ブドウの芽が美味いのは意外で驚きでした。

さてここでワインを合わせてみます。
甲州の爽やかな柑橘の香りと日本酒のような吟醸香には、天ぷらが合うと踏んでいたのだが果たしてどうだろうか。
結果は...
最高のマリアージュでしたw
芽の酸味やちょっとした苦味が、ぴったりとワインと同調してくれます。
さらに天ぷらの衣をまとった芽が甲州のコクにあい、さらに口の中をさっぱりとさせてくれます。

まさかここまでとは。畑の芽と、そこからできるブドウ。言ってみれば、鶏肉と卵の親子丼のような関係ではないか!

みんなも芽掻きに行こう!
最初はちょっと面倒だった芽掻き。しかしこんなに美味しい発見ができたのは本当にセレンディピティーでした!
ブドウの芽の天ぷらが食べたくなった方々。残念ながら芽がスーパーに並ぶことは今のところないでしょう。すぐにしおれてしまい、流通に乗りにくいんです。
なのであの芽は勝沼で芽掻きをしてきた人間の特権です!
しかし、今年の芽掻きはほとんど終了していると思います。
チャンスは来年です。
みなさんブドウの実を取りに行く秋ではなく、ぜひGWにでもブドウ園へ行ってみて芽掻きを体験してみてください!
ちなみに今回の内容は、ソムリンTVでも配信しておりますので、ぜひご覧ください!